アンプシミュレーターはハードかソフトか:レイテンシー・入力・音の荒れを計算で確かめる
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アンプシミュレーターは、ハードのモデラーとパソコンのプラグインのどちらを選べばいいのだろうか? 結論から言うと、レイテンシー(音が遅れて届く時間)、ギターをつなぐ入力、歪みの荒れの3つを確かめても、「ハードだから有利」「ソフトだから不利」と言える結果は出なかった。差を生んでいたのは、つなぎ方と設定、そして製品の中の設計のほうだ。
そこで編集部の判断(2026-10-16)は次のとおりだ。まず、パソコンなしで弾くのか、DAWのある机で弾くのかで、ハードかソフトかを選ぶ。そのうえで、入力とレイテンシーの2点を確かめたい。ギターをライン並みの10kΩ(HelixのAux In)につなぐ計算では高い音が大きく削られたが、1MΩのHi-Zでは削られなかった1。レイテンシーは自分が設定するバッファーサイズによって変わり、RME Babyface Pro FSの内訳から求めると、48kHz・64サンプルなら往復は3.58〜4.25msになる21。歪みの荒れはオーバーサンプリングという設計で大きく変わるが、アンプのモデルについてその設計を書いているメーカーは、読んだ範囲には無かった。
なお、製品そのものは測っていない。数値は、記録1にある再現できる計算か、メーカーの資料と文献の記載から取っている。
2026-10-16に読んだ資料は3つに分かれる。1つめはハードのモデラーの仕様とマニュアルだ。機種は、Line 6 HelixとHX Stomp、Kemper Profiler、Fractal Audio Axe-Fx III・FM3・FM9、BOSS GT-1000・GX-100、Strymon Iridiumになる。2つめはオーディオインターフェースの仕様で、MOTU、RME、Audient、Roland、Zoom、Steinbergの機種だ。3つめはLine 6 Helix Nativeの資料と、Steinberg Cubase、Ableton Live、Bitwig Studio、Image-Line FL Studioのマニュアルになる。
一方、Native Instruments、IK Multimedia、Neural DSP、Positive Grid、Apple、Fenderの資料は、自動での取得が制限されていたため読んでいない。そのため、Guitar Rig 7、AmpliTube 5、TONEX、Quad Cortex、BIAS FX 2、Logic Pro、Studio Proについての事実は、この記事に入っていない。
ハードとプラグインでは、音の通り道がどう違うのか
ハードのモデラーでは、ギターの信号は本体のHi-Z(ハイインピーダンス)入力から入り、AD変換でデジタルの信号になる。アンプのモデル(DSP)を通ったあとはDA変換でアナログに戻り、アンプやPA、ヘッドホンへ出ていく。ここまでが1台の中で完結している。
プラグインでは、信号がオーディオインターフェースとパソコンのあいだを往復する。インターフェースでAD変換された信号はUSBでパソコンに送られ、入力バッファーにためられる。プラグインで処理したあとは出力バッファーを通り、インターフェースに戻ってDA変換される。
バッファーとは、パソコンが音をまとめて処理するための置き場のことだ。その大きさをバッファーサイズといい、サンプル(音を数字にするときの1回分)の数で表す。48kHzなら1秒は48000サンプルなので、64サンプルのバッファーは1.33ms分の音になる1。入力と出力に1つずつあるため、プラグインの経路ではバッファー2つ分がレイテンシーに加わる。
図:ハードのモデラー(上)とプラグイン(下)の信号の通り道1。プラグインでは入力と出力のバッファーを1つずつ通り、48kHz・64サンプルならバッファー2つで2.67ms、音が約91cm進む時間になる1。変換・転送・処理の小さなレイテンシー(図の点)は製品によって違うので、数を入れていない。
この先で使う言葉を3つ押さえておく。入力インピーダンスは、ギターをつなぐ端子の側の抵抗の大きさで、単位はΩ(オーム)だ。値が小さいほど、パッシブのピックアップには重い負荷になる(主張2で計算する)。エイリアシングは、デジタルで歪ませたときに、サンプリングレートの半分を超えた倍音が低い側へ折り返して出てくる現象で、そうして出てくる成分をエイリアシングノイズと呼ぶ3。オーバーサンプリングは、歪ませる部分だけを何倍かのサンプリングレートで計算し、フィルターで余分な成分を除いてから元に戻す方法で、エイリアシングノイズを減らすために使う4。
主張ごとの検証
ハードとソフトのアンプシミュレーターについていわれていることを、確かめられる形の4つの主張に分けた。
- ソフトはレイテンシーが大きいから弾きにくい
- ギターをインターフェースに直接挿すと、音がこもる
- ソフトの歪みはデジタル臭い
- 同じメーカーなら、ハードとソフトで同じ音になる
主張1ソフトはレイテンシーが大きいから弾きにくいのか
方法
まず、バッファー1つ分の長さを求めた。式は「サンプル数÷サンプリングレート×1000」で、単位はmsになる1。これを、音が空気中を進む距離に直す。音の速さは、J. O. Smithの解説にある20℃の空気の値(毎秒1124.1フィート)をメートルに直し、342.6m/sとした51。1msは34.26cmにあたる1。
ラウンドトリップレイテンシー(往復のレイテンシー)は、入力バッファーと出力バッファーの分に、変換や転送にかかる時間を足したものだ。この足される時間は製品ごとに違うので、メーカーの資料から求めた。MOTU M2は往復のレイテンシーの合計を公表している6。一方、RME Babyface Pro FSは合計を書かず、内訳を示している2。AD変換が5サンプル、DA変換が7サンプル、安全用のバッファーが32サンプルで、macOS(Core Audio)ではさらに片道16サンプルの余裕(Safety Offset)が加わる2。これを足し合わせて往復のレイテンシーを求め、Windows(ASIO)の場合はこの余裕を除いて計算した1。
あわせて、ハードのモデラーの仕様とマニュアル、DAWのマニュアル、Line 6 Helix Nativeの資料で、レイテンシーについての記述を探した。
結果
48kHzでのバッファー1つ分の長さは、次のとおりだ1。長さはバッファーサイズに比例する。
| バッファーサイズ(サンプル) | 1つ分の長さ(ms) | 音が進む距離(cm) |
|---|---|---|
| 161 | 0.33 | 11 |
| 321 | 0.67 | 23 |
| 641 | 1.33 | 46 |
| 1281 | 2.67 | 91 |
| 2561 | 5.33 | 183 |
| 5121 | 10.67 | 365 |
| 1,0241 | 21.33 | 731 |
96kHzなら、同じバッファーサイズでも長さは48kHzの半分になる1。64サンプルなら0.67msだ1。
図:バッファー1つ分の長さを、サンプリングレートごとに示す1。長さはバッファーサイズに比例し、サンプリングレートが2倍になると半分になる1。入力と出力で、この2つ分がレイテンシーに加わる。
メーカーの資料から求めた往復のレイテンシーは、次のようになった。
| インターフェースと条件 | 往復のレイテンシー(ms) | 音が進む距離(cm) | バッファー2つ以外の分(ms) |
|---|---|---|---|
| MOTU M2、96kHz・32サンプル(メーカーの公表値)61 | 2.5 | 86 | 1.83 |
| RME Babyface Pro FS、48kHz・32サンプル、macOS21 | 2.92 | 100 | 1.58 |
| RME Babyface Pro FS、48kHz・32サンプル、Windows(ASIO)21 | 2.25 | 77 | 0.92 |
| RME Babyface Pro FS、48kHz・64サンプル、macOS21 | 4.25 | 146 | 1.58 |
| RME Babyface Pro FS、48kHz・64サンプル、Windows(ASIO)21 | 3.58 | 123 | 0.92 |
表の出典:621(確認日2026-10-16)。RMEの値は、マニュアルにある内訳を足した計算で、RMEが公表した合計ではない。
- MOTU M2の2.5msのうち、2つのバッファーの分は0.67msで、残りの1.83msが変換や転送などの分になる61。
- RMEの内訳から求めると、48kHz・64サンプルでの往復は3.58〜4.25msで、音が約1.2〜1.5m進む時間にあたる21。アンプから1.5mほど離れて弾いたときに、音が耳に届くまでの時間とほぼ同じだ1。
- RMEのマニュアルによれば、この機種の変換そのもののレイテンシーは、48kHzでAD変換が0.10ms、DA変換が0.15msと小さい2。往復のレイテンシーの多くを占めるのは、バッファーと安全用の余裕のほうだ21。
図:レイテンシーを、アンプから離れて弾いたときの距離に置き換えた1。音は1msで34.26cm進むので51、48kHz・64サンプルのバッファー1つ(1.33ms)は約46cm、2つ(2.67ms)は約91cmにあたる1。図の下側は、変換や転送も含む往復のレイテンシーだ。MOTU M2が公表している2.5ms(96kHz・32サンプル)なら約86cmだ61。RME Babyface Pro FSのマニュアルの内訳から計算した4.25ms(48kHz・64サンプル、macOS)は、約146cmになる21。
一方、ハードのモデラーでレイテンシーの数値を書いているものは、読んだ範囲に1つも無かった78910111213141516。
- Fractal Audio Axe-Fx IIIのマニュアルは、USBオーディオを「超低レイテンシー」と書くだけで、数値は示していない11。
- Fractal Audio FM3とFM9には「USB Buffer Size」の設定があり、値を下げるほどUSBオーディオのレイテンシーが小さくなると説明している1213。
- Line 6は、センドとリターンのループで加わるAD・DA変換のレイテンシーについて、それだけでは聞き取れないほど小さいと書いている17。ただし、その変換を通らない音と混ぜると、位相のずれが起こりうるともいう17。これはLine 6の説明で、数値は無い。
DAWのマニュアルには、モニタリングのレイテンシーについて次のように書いてあった。
- Steinberg Cubase Pro 12は、入力と出力のレイテンシーは理想的には数msであるべきだとしている18。バッファーサイズは小さいほどレイテンシーが小さくなるが、小さすぎるとクリックやポップが出るという19。
- Cubaseを通してモニターする音は、オーディオインターフェースのレイテンシーの分だけ遅れる20。レイテンシーの大きいプラグインを使っていると、自動の遅延補正のために、モニターの音はさらに遅れる20。
- CubaseのASIO Direct Monitoringでは、モニターの音がオーディオインターフェースの中で作られるので、そのレイテンシーの影響を受けない。そのかわり、プラグインは通らない21。
- Ableton Live 12も、モニターしたギターの音はインターフェースのレイテンシーの分だけ遅れるとし、レイテンシーが無視できるほど小さい(数ms)インターフェースが望ましいと書く22。パソコンを通さないダイレクトモニタリングにするときは、Monitorを「Off」にする22。
Line 6 Helix Nativeについては、Line 6がCPUの負荷の大きいプラグインだと書き、自社のシステムで27〜30%という例を挙げている23。DAWのバッファーサイズを大きくすれば、負荷はある程度下がるという23。ただし、プラグインそのものが加えるレイテンシーの数値は、FAQと製品ページのどちらにも無かった2425。DAW(Cubase、Live、Bitwig Studio、FL Studio)に付属するアンプの説明にも、レイテンシーの記述は無い26222728。
言えること
主張2ギターをインターフェースに直接挿すと、音がこもるのか
方法
図:主張2で計算した回路291。ピックアップは、弦の振動で生まれる起電力に、コイルのL(2H)と抵抗R(10kΩ)が直列に、静電容量C(50pF)と磁気の損失を表す抵抗Rl(1000kΩ)が並列に入る291。そこへケーブルの静電容量(合計400pF)と、つなぐ先の入力インピーダンス(10kΩ〜1MΩ)がつながる301。100Hzの大きさを0dBとすると、10kΩでは5kHzが-10.29dBまで下がり、1MΩでは5.25kHzに+11.12dBの共振ピークができる1。
Paivaらによるピックアップの回路モデルを使って計算した291。弦の振動から電圧(起電力)が生まれ、そこにコイルのインダクタンスLと抵抗Rが直列に、静電容量Cと磁気の損失を表す抵抗Rlが並列に入る、という回路だ29。値には論文の図にある例(L 2H、R 10kΩ、C 50pF、Rl 1000kΩ)を使った291。論文では、一般的な値の範囲を、Lは1〜10H、Rは5〜15kΩ、Cは15〜200pFとしている29。
この回路に、ケーブルの静電容量と入力インピーダンスを加えた。ケーブルは合計400pFとした。PaivaとPenttinenが、シミュレーションで「ふつうのケーブル」として使った値だ30。同じ論文で2.5〜9mの市販のケーブル9本を測った値は、合計225〜843pFだった30。そこで、225pFと843pFでも計算している1。入力インピーダンスは10kΩから1MΩまでの5通りで、どの値にも、それを載せたメーカーの仕様がある1。ギターのボリュームとトーンのつまみは、引用できる値が見つからなかったので回路モデルに入れていない1。
結果
基準のピックアップを合計400pFのケーブルで5通りの入力につなぐと、次のようになった。値は100Hzの大きさを0dBとしている1。
| 入力インピーダンス | 100Hzより3dB小さくなる周波数(kHz) | 5kHzの大きさ(dB) | 共振ピーク |
|---|---|---|---|
| 10kΩ1 | 1.62 | -10.29 | なし |
| 20kΩ1 | 2.55 | -7.05 | なし |
| 330kΩ1 | 8.15 | +7.82 | 5.18kHzに+7.92dB |
| 500kΩ1 | 8.19 | +9.15 | 5.22kHzに+9.38dB |
| 1MΩ1 | 8.21 | +10.69 | 5.25kHzに+11.12dB |
330kΩ以上の行の「3dB小さくなる周波数」は、ピークを越えたあとで100Hzより3dB小さくなる所を示す1。10kΩは、アクティブのピックアップ向けの入力であるHelixのAux Inについて、Line 6が挙げている値だ8。20kΩはZoom AMS-22のLINE INの値にあたる31。
- 10kΩと20kΩでは、高い音がなだらかに削られた1。5kHzは100Hzより、10kΩで10.29dB、20kΩで7.05dB小さい1。全体の音量も下がり、100Hzの大きさはピックアップの起電力に対して10kΩで-6.08dB、20kΩで-3.59dBだった1。1MΩでは-0.17dBにとどまる1。
- 330kΩ以上では高い音は削られず、5kHz付近に共振ピークができた1。入力インピーダンスが大きいほどピークは高くなるが、ピークの周波数は5.18〜5.25kHzとほとんど動かない1。
図:基準のピックアップ(L 2H、R 10kΩ、C 50pF)を、合計400pFのケーブルで入力につないだときの周波数特性(ピックアップの起電力を0dBとする)1。500kΩの線は330kΩと1MΩのあいだに入るので、図では省いて表にだけ載せた。10kΩと20kΩでは高い音がなだらかに下がり、330kΩ以上では5kHz付近に共振ピークができる1。
ピークの位置を大きく動かしたのは、むしろケーブルのほうだった。1MΩの入力でも、ケーブルが225pFならピークは6.71kHz、843pFなら3.72kHzになる1。PaivaとPenttinenも、ケーブルの静電容量が大きいほど共振周波数は低くなると書いている30。一方、10kΩの入力では、ケーブルを替えても3dB小さくなる周波数は1.61〜1.65kHzとほとんど変わらなかった1。
論文の範囲から選んだ別のピックアップ(L 5H、R 12kΩ、C 100pF)でも、傾向は同じだった1。10kΩでは716Hzで100Hzより3dB小さくなり、1MΩでは3.14kHzに+10.10dBのピークができた1。
では、この計算は実際のギターと合っているのか。PaivaとPenttinenが2.5〜9mの市販のケーブルで実際のピックアップの共振周波数を測ったところ、2.76〜4.14kHzだった30。0.3mの短いケーブルでは4.93kHzになる30。基準のピックアップを400pFでつないだこの計算の5.25kHzは、それより高い1。差が出た理由は確かめていない。考えられるのは、この回路モデルにギターのボリュームとトーンのつまみを入れていないことと、ピックアップに測った値ではなく論文の例の値を使っていることだ(推測)291。なお、843pFの場合(3.72kHz)と別のピックアップの場合(3.14kHz)は、測られた範囲に入っていた130。
ギターをつなぐ入力について、メーカーの仕様に書かれている入力インピーダンスは次のとおりだった。
| 種類 | 機材 | ギター用の入力 | 備考 |
|---|---|---|---|
| モデラー | Kemper Profiler(Head、Rack、Stage、Player)10 | 1MΩ | HeadとRackのALTERNATIVE INPUTは825kΩ |
| モデラー | Fractal Audio Axe-Fx III11 | 1MΩ | Auto-Zが有効なら、前面の端子では低くなる |
| モデラー | Fractal Audio FM3、FM91213 | 1MΩ | |
| モデラー | BOSS GT-1000、GX-1001415 | 1MΩ | |
| モデラー | Strymon Iridium16 | 1MΩ | |
| モデラー | Line 6 Helix(Floor、Rack、LT)7 | 値の記載なし | 最初のブロックに合わせて自動で切り替わる |
| モデラー | Line 6 HX Stomp9 | 値の記載なし | 楽器用とライン用を切り替える |
| インターフェース | RME Babyface Pro FS2 | 1MΩ | 入力3と4 |
| インターフェース | Zoom AMS-2231 | 1MΩ | TSのGUITAR入力 |
| インターフェース | Zoom AMS-2432 | 330kΩ | GUITARに設定したとき |
| インターフェース | Roland Rubix22、Rubix243334 | 500kΩ以上 | Hi-Zをオンにしたとき |
| インターフェース | Audient iD435 | 値の記載なし | JFETの楽器入力とだけ書いている |
| インターフェース | MOTU M26 | 値の記載なし | Hi-Zのギター入力がある |
| インターフェース | Steinberg UR22C36 | 値の記載なし | Input 2をハイインピーダンスに切り替えられる |
表の出典:623334313235367910111213141516(確認日2026-10-16)
HelixのAux Inの値は、Line 6のKBの中で47.5kΩ7と10kΩ8の2通りに書かれていた。計算では10kΩのほうを使っている1。
入力インピーダンスで音が変わることを前提に作られた製品もある。Fractal Audioの楽器入力は、1MΩから22kΩまでの6つの値から選べ、実際のアナログの回路が切り替わる37。それぞれに、コンデンサーを足した設定もある37。一部の昔のエフェクト(Vibeなど)がピックアップに負荷をかけ、周波数特性を変えるようすを再現するためだという37。Line 6も、Helixのインピーダンスの自動切り替えで入力の音量と音色が変わり、その変化はパッシブのピックアップでとくに目立つと書いている17。
ただし、プラグインではこの設定は効かない。Line 6 Helix NativeのFAQによれば、ハードにあるGuitar In-Z(入力インピーダンス)の設定は、プラグインでは無視される24。つまりプラグインで使うときの入力インピーダンスは、インターフェースの端子で決まる。
言えること
言えないこと
ギターのボリュームとトーンのつまみ、トーンのコンデンサーは回路モデルに入れていない。Paivaらの論文にもつまみの抵抗の値は無く、引用できる値が見つからなかったためだ29。実際のピックアップは製品ごとに値が違い、アクティブのピックアップはこの回路モデルでは扱えない。ピークの高さの違いがどう聞こえるかも、この計算では分からない。仕様に値の無い入力がどの範囲に入るかも、ここからは分からない。
主張3ソフトの歪みはデジタル臭いのか
方法
図:エイリアシングノイズが出るしくみ1。24フレットのE(1318.50Hz)をtanhで歪ませて48kHzで計算すると、倍音は奇数倍の位置にだけ並ぶ1。サンプリングレートの半分(24kHz)を超えた倍音は低い側へ折り返し、いちばん大きいエイリアシングノイズは、19番目の倍音(25.05kHz)が折り返して22.95kHzに出たものだった1。37番目の倍音(48.78kHz)は784Hzに出て、弾いた音より低い1。8倍のオーバーサンプリングでは384kHzで歪ませるので、折り返す境目は192kHzまで上がる1。
ギターの音と同じ高さのサイン波を、y = tanh(g·x) / tanh(g)という式で歪ませた1。tanhは、入力が大きくなるほどなめらかに頭打ちになる曲線だ。入力に掛ける倍率をゲインと呼び、ゲインが大きいほど深く歪む。ゲインは3、10、30、100の4通りにした1。音は1弦の開放のE(329.64Hz)、12フレットのE(659.27Hz)、24フレットのE(1318.50Hz)の3つだ1。
サンプリングレートは48kHzで、歪ませる部分だけは、その1倍(そのまま)、2倍、4倍、8倍、16倍のサンプリングレートで計算した1。16倍までにしたのは、Bilbaoらが、音響の用途ではふつう8倍か16倍に上げると書いているからだ4。アップサンプリングとダウンサンプリングのフィルターには、カイザー窓のFIRを使っている1。
そのうえで、出力のうち倍音の位置に無い成分をすべてエイリアシングノイズとみなし、その電力と出力全体の電力との比をdBで求めた1。音の周波数はFFT(1048576点)の刻みにそろえてあるので、倍音とエイリアシングノイズはそれぞれ決まった位置に落ちる1。計算の丸め誤差で決まる下限(ノイズフロア)は、ほとんど歪ませない場合(ゲイン0.01)で-298〜-310dBだった1。
結果
24フレットのEをゲイン30で歪ませると、エイリアシングノイズは次のように変わった1。表の2つの値は、比べる相手が違う。「エイリアシングノイズの電力」は、エイリアシングノイズをすべて足した電力を出力全体の電力と比べたもので、「最大のエイリアシングノイズ」は、いちばん大きい1本を基音と比べたものだ1。
| オーバーサンプリング | エイリアシングノイズの電力(出力全体に対するdB) | 最大のエイリアシングノイズ(基音に対するdB) |
|---|---|---|
| 1倍1 | -21.11 | -26.96 |
| 2倍1 | -39.19 | -45.57 |
| 4倍1 | -72.53 | -79.16 |
| 8倍1 | -138.48 | -145.53 |
| 16倍1 | -169.48 | -176.20 |
- 倍率を上げるほど、エイリアシングノイズは大きく減った。1倍の-21.11dBが、8倍では-138.48dBになる1。
- 16倍の行の最大のエイリアシングノイズは、ダウンサンプリングのフィルターをすり抜けた成分で、値はそのフィルターの減衰量(約146〜149dB)に左右されている1。
- 音が低いほどエイリアシングノイズは小さい。同じゲイン30の1倍でも、1弦の開放のEでは-46.37dB、12フレットのEでは-29.91dBだった1。
- 歪みが深いほど増える。24フレットのEをゲイン100で歪ませると、1倍で-17.74dB、8倍でも-58.15dBが残り、16倍で-97.97dBになった1。浅い歪み(ゲイン3)なら、1倍でも-82.71dBだった1。
図:24フレットのE(1318.50Hz)を歪ませたときの、オーバーサンプリングの倍率とエイリアシングノイズの電力(出力全体に対するdB)1。ゲインは4通りで、歪みが深いほど高い倍率が要る1。浅い歪みの線は途中から平らになる。ダウンサンプリングのフィルターの性能で決まる下限に達するためだ1。
エイリアシングノイズがふつうの倍音と違うのは、出てくる位置だ。1倍のとき、基音より低い側でいちばん大きかったのは784Hzの成分で、基音より36.24dB小さかった1。37番目の倍音(48784Hz)が折り返したもので、弾いた音(1318.50Hz)より低く、倍音の並びにも無い高さに出ている1。基音から60dB以内の大きさのエイリアシングノイズは、1倍では35本あったが、8倍では1本も無かった1。
図:24フレットのEをゲイン30で歪ませたときのスペクトル(10Hzごとの最大値、基音を0dBとする)1。1倍では倍音のあいだにエイリアシングノイズが散らばり、784Hzのように基音より低い所にも出る1。8倍ではそれらが-140dBより下に沈む1。
文献も同じことを書いている。
- Parkerらによれば、波形を歪ませる処理で生まれる成分は帯域に限りがないため、サンプリングレートの半分を超えた成分が折り返してエイリアシングノイズになる3。エイリアシングノイズは一般に耳障りで不快に感じられる、という別の研究も引いている3。
- Bilbaoらによれば、オーバーサンプリングの欠点は、計算の量が倍率に比例して増えることだ4。
- Parkerらはまた、倍音はいくらでも続きうるので、オーバーサンプリングだけでは理想から遠いと述べる3。そこで、低い倍率のオーバーサンプリングと組み合わせてエイリアシングノイズを大きく減らす別の方法(原始関数を使う方法)を示した3。
- J. O. Smithの解説では、ハードクリップのように波形に鋭い角ができる歪みは強いエイリアシングを生み38、角をなめらかにすれば帯域の広がりを抑えられる39。
では、製品はどうなっているのか。処理のサンプリングレートを書いているものはあったが、アンプのモデルのオーバーサンプリングを書いたものは無かった。
| 製品 | 書いてあるサンプリングレート | オーバーサンプリングや品質の設定 |
|---|---|---|
| Fractal Audio Axe-Fx III、FM3、FM911121337 | 48kHz(固定) | アンプのモデルには記載なし。品質の切り替えは、キャビネットのブロックにあるマイクのプリアンプなど一部だけ |
| BOSS GT-100014 | 96kHz | 記載なし |
| BOSS GX-10015 | 48kHz | 記載なし |
| Strymon Iridium16 | 96kHz(AD・DA) | 記載なし |
| Kemper Profiler10 | USBは44.1kHz。内部の処理は記載なし | 記載なし |
| Line 6 Helix、HX Stomp789 | 内部の処理は記載なし(HX StompのAD・DA変換器は192kHz) | 記載なし |
| Line 6 Helix Native2440 | 44.1〜96kHzに対応(Helix Stadium Nativeは192kHzまで) | 記載なし |
| Steinberg CubaseのVST Amp Rack26 | 記載なし | 記載なし |
| Ableton Live 12のAmp、Cabinet22 | 記載なし | 記載なし |
| Bitwig StudioのAmp27 | 記載なし | 記載なし |
| Image-Line FL StudioのHardcore28 | 記載なし | 記載なし |
表の出典:7892440101112133714151626222728(確認日2026-10-16)
対照的なのが、Ableton Live 12のマニュアルだ。PedalとSaturatorには、エイリアシングを減らすHi-Qualityモードがあると書き、Glue Compressorでは内部を2倍のサンプリングレートで処理する設定を説明している22。ところが、同じマニュアルのAmpとCabinetには、そうした記述が無い22。Bitwig Studioにも、エイリアシングを抑えたクリッパー(Over)の説明はあるが、Ampには無かった27。
なお、サンプリングレートが96kHzだと書いてあっても1416、アンプのモデルがそのレートのまま歪ませているのか、さらにオーバーサンプリングしているのかは、仕様からは分からない。
言えること
歪みで出るエイリアシングノイズを左右するのは、ハードかソフトかではなく、オーバーサンプリングの設計だ。24フレットのEをゲイン30で歪ませると、エイリアシングノイズの電力は1倍の-21.11dBから8倍の-138.48dBまで下がった1。音が高く、歪みが深いほど増える。そして読んだ範囲では、アンプのモデルについてその設計を書いているメーカーは、ハードとプラグインのどちらにも無かった。
言えないこと
ある製品で、エイリアシングノイズが聞こえるかどうかは分からない。製品のアンプのモデルが、ここで使ったtanhの式と同じ形かどうかも分からない。J. O. Smithも、エイリアシングを取り除く前に、それが聞こえるか、また不快に感じられるかを確かめるよう勧めている41。Parkerらの言う不快さは別の研究を引いたもので、どの大きさから聞こえるかという数値は、読んだ文献には無かった。
主張4同じメーカーなら、ハードとソフトで同じ音なのか
方法
ここでは新しい計算はしていない。Line 6のKBと製品ページ、Kemper、Fractal Audio、BOSS、Strymonの仕様とマニュアルで、ハードと同じモデルを使うプラグインがあるかを探した。
結果
- Line 6は、Helix NativeがHelixとHelix Rackのアンプ、キャビネット、エフェクトのモデルをすべて備え、プリセットにも完全な互換性があると書いている24。モデルの更新も、ハードと同時に行うことを目標にしているという24。
- 製品ページにも、Helixの製品群のあいだでプリセットを行き来できるとある4225。ただし、Helix Nativeを新しく手に入れられるのは、HelixかHXのハードを登録した人に限られる25。
- HX Stompについては、同時に使えるブロックが6つまでという点を除けば、Helixと同じ音だとLine 6は書いている9。Helix LTも、モデリングのエンジンはFloorやRackとまったく同じだという8。
- 例外もある。Helix Nativeでは、ハードにあるGuitar In-Z(入力インピーダンス)やGlobal EQの設定は使えず、センドとリターンのブロックも通らない24。
- Helix Stadiumは新しい設計で、従来のHelixとはプリセットに互換性が無い24。Helix Stadium Nativeは従来のHelixのプリセットを読み込めるが、その逆はできない40。
- 読んだ範囲では、Kemper、Fractal Audio、BOSS、Strymonのページにプラグインの記述は無かった。書かれていたのは、設定を編集するソフト(KemperのRig Manager、Fractal AudioのAxe-Edit III、BOSS Tone Studio)だけだ10111415。Strymon IridiumのUSBは、IRとファームウェアを読み込むためのものだ16。
- IK Multimedia TONEXとNeural DSP Quad Cortexは、資料を読めていないので、ここでは扱わない。
パソコンなしで使えるか
ステージでパソコンを使わずに弾けるかどうかを、足もとのスイッチ、PAにつなぐXLRの出力、録音にも使えるUSBの3点で見た。数や有無は仕様とマニュアルの記載によるもので、読んだ資料で確かめられなかった所は「未確認」とした。
| 機材 | 足もとのスイッチ | XLRの出力 | USBのオーディオインターフェース |
|---|---|---|---|
| Line 6 Helix Floor、LT71742 | 静電式のフットスイッチ(数は未確認) | 未確認(読んだKBの入出力の仕様にはTRSの出力だけが載っていた) | あり(Line 6のKBに録音での使い方がある) |
| Line 6 HX Stomp9 | 未確認 | 未確認(標準フォーンの出力は600Ω) | あり |
| Kemper Profiler Stage、Player10 | 数は仕様に無し | あり(MAIN OUTPUT) | あり(8チャンネル、44.1kHz) |
| Fractal Audio Axe-Fx III11 | 本体に無し(別売のFC-6、FC-12で操作) | あり | あり(8入力8出力、48kHz) |
| Fractal Audio FM312 | 3つ | あり(バランス) | あり(48kHz) |
| Fractal Audio FM913 | 9つ | あり | あり(48kHz) |
| BOSS GT-100014 | 10個とエクスプレッションペダル | あり(SUB OUTPUT) | あり |
| BOSS GX-10015 | 8個とエクスプレッションペダル | 無し(端子は標準フォーンだけ) | あり |
| Strymon Iridium16 | ONとFAVの2つ | 未確認(入出力はステレオの標準フォーン) | 無し(USBはIRとファームウェア用) |
表の出典:71794210111213141516(確認日2026-10-16)
Strymon Iridiumは、録音のときはインターフェースにつなぐ使い方を案内している16。
プラグインの側では、Line 6 Helix NativeはAAX、AU、VST3の形式で、単体で動く版は載っていなかった25。発売のころのFAQにも、単体版は発売時には無いとある24。Helix Stadium Nativeも、VST3、AU、AAXだけだ40。DAWに付属するアンプは、どれもそのDAWの中で使う機能として説明されている26222728。Native Instruments Guitar Rig 7やIK Multimedia AmpliTube 5などの単体版は、資料を読めていない。
DAWに付属するアンプはどの版にあるのか
DAWに付属するアンプもあるが、入っている版は限られていた。
| DAW | 付属のアンプ | 入っている版 |
|---|---|---|
| Steinberg Cubase 1543 | VST Amp Rack | Pro、Artist、Elements(AIとLEには無し) |
| Ableton Live 1244 | Amp、Cabinet、Pedal | Suiteだけ |
| Bitwig Studio45 | Amp(キャビネットはAmpの中の段) | Bitwig Studioだけ(EssentialsとProducerには無し) |
| Image-Line FL Studio46 | Hardcore(11種類のギター用エフェクトとキャビネット)。アンプ専用のプラグインは見つからなかった | Signature Bundle以上 |
表の出典:43444546(確認日2026-10-16)。CubaseのVST Amp Rackの説明は、12.0.0版のプラグインリファレンスで読んだ26。Apple Logic ProとFender Studio Proのアンプは、資料を読めていない。
結論(編集部の判断)
判断日:2026-10-16。判断の材料にしたのは、記録1の計算と、メーカーの仕様、マニュアル、文献の記載だけで、音の好みは考えに入れていない。
| 主張 | 判定 |
|---|---|
| 1 ソフトはレイテンシーが大きいから弾きにくい | 数字では比べられない。プラグインの経路にはバッファー2つ分のレイテンシーが加わり、RME Babyface Pro FSの内訳から求めると、往復は48kHz・32〜64サンプルで2.25〜4.25msだった21。ハードのモデラーはレイテンシーを公表していない |
| 2 インターフェースに直接挿すとこもる | ライン入力なら正しい。10〜20kΩでは高い音が下がり、330kΩ以上のHi-Zではこもらなかった1 |
| 3 ソフトの歪みはデジタル臭い | ハードかソフトかでは決まらない。エイリアシングノイズはオーバーサンプリングの倍率で大きく変わるが1、どちらも設計を公表していない |
| 4 同じメーカーならハードとソフトで同じ音 | Line 6のHelixについては、メーカーがそう説明している。読んだ範囲では、ほかのメーカーにプラグインの記述が無かった。Helix Stadiumとは互換が無い2440 |
使い方ごとの判断は次のとおりだ。
| 使い方 | 編集部の判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| パソコンなしでステージやリハーサルに出る | ハードのモデラー | フットスイッチとXLRの出力を備えた機種がある(BOSS GT-1000、Fractal Audio FM3とFM9など)121314。読んだ範囲のプラグインは、単体で動く版の記載が無かった2540 |
| DAWのある机で録音する | どちらでもよい。プラグインなら往復のレイテンシーを先に確かめる | レイテンシーはバッファーサイズ次第で、RME Babyface Pro FSの内訳から求めると48kHz・64サンプルで3.58〜4.25ms21。ハードの多くはUSBのオーディオインターフェースを兼ねるが、Strymon Iridiumは兼ねない16 |
| ライン入力しか無い機材にギターをつなぐ | パッシブのギターを直接は挿さない。Hi-Zの入力か、1MΩの入力があるハードのモデラーを通す | ライン並みの10kΩでは、5kHzが100Hzより10.29dB下がった1 |
| インターフェースのHi-Zの値が仕様に書いていない | 仕様かメーカーに確かめる。Hi-Zと書かれた入力は楽器用で、値が無いことだけを理由に避ける根拠はない | 値が書いてあるインターフェースの入力は330kΩ〜1MΩで、この範囲ではこもらなかった2333431321 |
| 330kΩ〜1MΩのHi-Zがあるインターフェースをすでに持っている | プラグインで、入力の不利は無い | 330kΩ以上ではこもらず、違いはピークの高さ(7.92〜11.12dB)だった1 |
| ハードとプラグインで同じ音を使いたい | 読んだ範囲では、Line 6のHelixとHelix Native | 全モデルが共通でプリセットに互換性がある、とLine 6は書いている24。Helix Stadiumとは互換が無い2440 |
| 歪みの荒れが気になる | 品質やオーバーサンプリングの設定がある製品を選び、高めにする | エイリアシングノイズの電力は1倍の-21.11dBから8倍の-138.48dBまで下がった1。設定を書いているのはAbleton Live 12のPedalなど一部で、アンプのモデルについてその設計を書いているメーカーは無かった22 |
図:上の表のうち、入力とレイテンシーにかかわる判断を流れにした(編集部の判断、2026-10-16)。ライン入力しか無いなら、パッシブのギターを直接は挿さない。330kΩ以上のHi-Zがあればプラグインでも入力の不利は無いが、往復のレイテンシーは先に確かめる1。
判断が変わる条件:ハードのモデラーがレイテンシーの数値を公表したとき、またはアンプのモデルのオーバーサンプリングをメーカーが書いたときだ。何msのレイテンシーから弾きにくく感じるかを示す資料が見つかったときも、主張1の判定が変わる。また、この記事で読めなかったIK Multimedia、Neural DSP、Native Instruments、Positive Gridの資料を読めれば、主張4の表で扱える範囲は広がる。
自分の環境での確かめ方
- インターフェースの仕様表で、ギターをつなぐ入力(Hi-Z、INST、GUITARなどの名前)を見つけ、その入力インピーダンスを確かめる。この記事の計算では、330kΩ以上ならこもらなかった1。値が書いていなければ、メーカーに問い合わせる。
- パッシブのギターは、ライン入力(10〜20kΩほど)に直接挿さない。そうした入力では高域が弱まり、音量も下がった1。
- DAWのバッファーサイズから、レイテンシーを計算する。「サンプル数÷サンプリングレート×1000」でバッファー1つ分のレイテンシーがmsで求まり、それに34.26を掛けると音が進む距離(cm)になる1。入力と出力で2つ分になり、そこへ変換や転送の分が加わる。
- インターフェースのメーカーが往復のレイテンシーを公表していれば、その値を使う。MOTU M2のように合計が書かれている場合もあれば6、RME Babyface Pro FSのように内訳が書かれている場合もある2。
- プロジェクトにレイテンシーの大きいプラグインを入れていると、モニターの音はさらに遅れることがある20。CubaseならConstrain Delay Compensationを使う(低レイテンシーのモードが無いプラグインはオフになる)47。LiveならReduced Latency When Monitoringを使う22。
- ダイレクトモニタリングにすればレイテンシーは避けられるが、プラグインのアンプは通らない2122。Steinberg UR22Cのように、インターフェースのDSPで、エフェクトをかけたままゼロレイテンシーでモニターできるとする機種もある36。
- バッファーサイズを小さくするとCPUの負荷が上がり、小さすぎるとクリックやポップが出る19。音が途切れるなら、1段ずつ大きくして確かめる。
- プラグインに品質やオーバーサンプリングの設定があれば、その場所と値を確かめる。設定が見当たらなければ、高いフレットの音を深く歪ませて、ほかの製品と比べてみる。
関連する棚:
再現の手順
再現に必要な情報(スクリプトの場所とハッシュ、乱数のseed、ライブラリの版、生成物のハッシュ)を、記録から抜き出して示す1。
- 記録
ev_msr_synth_amp_sim_11- コミット
309b167f8f342a04216c9ae3b2d7025932833a7a- スクリプトの SHA-256
a1ec496f90ebcdbe95e168f117c44930cf8b65b62e314c6a44dff7ebe291c31f- 乱数の seed
20261016- ライブラリ
numpy 2.5.3scipy 1.18.1python 3.13.11soundfile 0.14.0matplotlib 3.11.2
生成物の SHA-256(14 件)
| ファイル | 種類 | SHA-256 |
|---|---|---|
concept_aliasing_fold.svg | 図(SVG) | 193a6a4b99534e466de602228b815d2617a6ad30aecdeb82f554da3eb4f4bac5 |
concept_choice_flow.svg | 図(SVG) | 719db5ed7a63212727c58abcdc51a9a208f3e033c04874b4feb4e2d266ac64f3 |
concept_latency_ruler.svg | 図(SVG) | e77231f26e4fa04b69f85da7be6d2cbb89bec8b9009479be73babed067561853 |
concept_pickup_circuit.svg | 図(SVG) | a1005c96c72a59cdb3455030324b86e53253e7937b97eaaaebe8b23d95280859 |
concept_signal_path.svg | 図(SVG) | 125a00bf29dc4d6f46fbbaee9b6f6ec200365372b6be48368d1872e858cff324 |
d1_buffer_ms.csv | 曲線(CSV) | 602241c0bb0a0c7f6309c9453b27748db7e5799e3f708aec75281ced84cbb93b |
d1_latency.png | スクリプトの図(PNG) | e8d53008e3c437b00e0d19176ab41224c0db71482433cbe10ca4e057c93cfe4d |
d1_round_trip_ms.csv | 曲線(CSV) | df7495f2f28b720bc90df6870211b70e28b404c0b4e80be4dfdf346e2198167b |
d2_pickup_loading.csv | 周波数特性(CSV) | d3fd1b41121626f648aa495bc292cf70b9500e5c2af8d8d8de6c891e11a9cf8c |
d2_pickup_loading.png | スクリプトの図(PNG) | 9d70742a82cd018684dbcf0602d2dbde536dfb5cc20bf6e2cc3017e6f9c1ac08 |
d3_alias_power_table.csv | 曲線(CSV) | 0c27a3e29ec50e66ee5db032b6224c63f8ba087fc9035547d16adf7d68ce023d |
d3_alias_vs_oversampling.csv | 曲線(CSV) | 38078fb54de4242e84d25e701cc2f9c430ca1cb9a40cf4022945a1a97d6c8d04 |
d3_aliasing.png | スクリプトの図(PNG) | 256ec345ab0c35db663ae816a3073fec400546f736adcd49c7a751895fa0b830 |
d3_spectrum_g30_e6.csv | スペクトル(CSV) | 4dd22bf9e68f45a385bec09d0c7741b9ffce6c79bf17a6c6dbc19caaff6004e1 |
スクリプトは MIT、データと図は CC BY 4.0(© 2026 DTMFRAME)。 ライセンスの全文
計算のスクリプトは/demos/amp-sim-hardware-software/demo.py、概念図を描くスクリプトは/demos/amp-sim-hardware-software/figures.pyに置いてある。使い方は/demos/README.mdにまとめた。この計算では乱数を使っていない。
根拠の一覧
文献の書誌は次のとおり。ピックアップの回路モデルは、Paiva、Pakarinen、Välimäkiの論文「Acoustics and Modeling of Pickups」による。掲載誌は『Journal of the Audio Engineering Society』60巻10号(2012年)で、768〜782頁にある。本文は、R. C. D. Paivaの博士論文(Aalto大学、2013年)に再録された版で確かめた。
ケーブルの値は、PaivaとPenttinenの「Cable matters: Instrument cables affect the frequency response of electric guitars」による。AESの第131回大会(2011年、ニューヨーク)の論文8466で、本文は同じ博士論文に再録された版で確かめた。
Parker、Zavalishin、Le Bivicの論文は、DAFx-16(2016年、ブルノ)の論文集の137〜144頁に載っている。Bilbao、Esqueda、Parker、Välimäkiの論文は、『IEEE Signal Processing Letters』24巻7号(2017年)の1049〜1053頁で、Aalto大学のリポジトリにある受理版で確かめた。
J. O. Smithの解説は、『Physical Audio Signal Processing』(W3K Publishing、2010年)のオンライン版だ。本文は、DSPRelated.comに置かれた同じ本の版で確かめている。
マニュアルの版は次のとおり。RME Babyface Pro FSはUser's Guideの1.5版、Strymon IridiumはRev Dだ。Fractal Audioのマニュアルは、Axe-Fx IIIがファームウェア20.x向け(2022年7月)、FM3が7.x向け、FM9が3.x向けだった。Steinberg Cubaseは、15版のヘルプはブラウザーのスクリプトなしでは本文が読めないため、Cubase Pro 12.0.20のヘルプと12.0.0版のプラグインリファレンスで確かめた。Ableton Live 12のマニュアルは、2026-10-01付けのPDFだ。Line 6 Helix NativeのFAQは発売のころ(2017年)の内容を含む。文献と資料の確認日は、すべて2026-10-16だ。
- 計算の記録1:ev_msr_synth_amp_sim_1(
tools/demos/amp-sim-hardware-software/、seed 20261016) - 概念図の計算の記録1:
concept_signal_path.svg、concept_latency_ruler.svg。値はresults_detail.jsonのD1_latency_arithmetic - 概念図の計算の記録1:
concept_pickup_circuit.svgはresults_detail.jsonのD2_pickup_loading、concept_aliasing_fold.svgはD3_aliasingの値 - 結論の流れの図:
concept_choice_flow.svg(使い方ごとの判断の表を図にしたもの) - 主張1の計算の記録1:
d1_buffer_ms.csv、d1_round_trip_ms.csv、results_detail.jsonのD1_latency_arithmetic - 主張2の計算の記録1:
d2_pickup_loading.csv、results_detail.jsonのD2_pickup_loading - 主張3の計算の記録1:
d3_alias_vs_oversampling.csv、d3_spectrum_g30_e6.csv、results_detail.jsonのD3_aliasing - 主張3の全条件の表1:
d3_alias_power_table.csv
出典
- 1記録
ev_msr_synth_amp_sim_1(実行 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10 本文 11 本文 12 本文 13 本文 14 本文 15 本文 16 本文 17 本文 18 本文 19 本文 20 本文 21 本文 22 本文 23 本文 24 本文 25 本文 26 本文 27 本文 28 本文 29 本文 30 本文 31 本文 32 本文 33 本文 34 本文 35 本文 36 本文 37 本文 38 本文 39 本文 40 本文 41 本文 42 本文 43 本文 44 本文 45 本文 46 本文 47 本文 48 本文 49 本文 50 本文 51 本文 52 本文 53 本文 54 本文 55 本文 56 本文 57 本文 58 本文 59 本文 60 本文 61 本文 62 本文 63 本文 64 本文 65 本文 66 本文 67 本文 68 本文 69 本文 70 本文 71 本文 72 本文 73 本文 74 本文 75 本文 76 本文 77 本文 78 本文 79 本文 80 本文 81 本文 82 本文 83 本文 84 本文 85 本文 86 本文 87 本文 88 本文 89 本文 90 本文 91 本文 92 本文 93 本文 94 本文 95 本文 96 本文 97 本文 98 本文 99 本文 100 本文 101 本文 102 本文 103 本文 104 本文 105 本文 106 本文 107 本文 108 本文 109 本文 110 本文 111 本文 112 本文 113 本文 114 本文 115 本文 116 本文 117 本文 118 本文 119 本文 120 本文 121 本文 122 本文 123 本文 124 本文 125 本文 126 本文 127 本文 128 本文 129 本文 130 本文 131 本文 132 - 2https://www.rme-audio.de/downloads/bface_pro_fs_e.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10 本文 11 本文 12 本文 13 本文 14 本文 15 本文 16 本文 17 本文 18 本文 19 本文 20
- 3https://dafx.de/paper-archive/2016/dafxpapers/20-DAFx-16_paper_41-PN.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 4https://aaltodoc.aalto.fi/bitstreams/e4bf0f6f-cf73-4311-bd9f-69c0f484064d/download(確認 )本文 1 本文 2 本文 3
- 5https://www.dsprelated.com/freebooks/pasp/Speed_Sound_Air.html(確認 )本文 1 本文 2
- 6https://motu.com/en-us/products/m-series/m2/specs/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8
- 7https://kb.line6.com/helix-floor-rack-lt-hx-effects-input-and-output-specs(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8
- 8https://kb.line6.com/helix-support-faq(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6
- 9https://kb.line6.com/hx-stomp-faq(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8
- 10https://www.kemper-amps.com/profiler/technical-specifications(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9
- 11https://www.fractalaudio.com/downloads/manuals/axe-fx-3/Axe-Fx-III-Owners-Manual.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10
- 12https://www.fractalaudio.com/downloads/manuals/FM3/FM3-Owners-Manual.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10
- 13https://www.fractalaudio.com/downloads/manuals/FM9/FM9-Owners-Manual.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10
- 14https://www.boss.info/global/products/gt-1000/specifications/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10 本文 11
- 15https://www.boss.info/global/products/gx-100/specifications/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9
- 16https://www.strymon.net/manuals/Iridium_UserManual_RevD.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10 本文 11 本文 12
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- 18https://archive.steinberg.help/cubase_pro/v12/en/cubase_nuendo/topics/vst_instruments/vst_instruments_about_latency_c.html(確認 )本文 1 本文 2
- 19https://archive.steinberg.help/cubase_pro/v12/en/cubase_nuendo/topics/optimizing/optimizing_settings_audio_buffer_c.html(確認 )本文 1 本文 2
- 20https://archive.steinberg.help/cubase_pro/v12/en/cubase_nuendo/topics/recording/recording_monitoring_via_cubase_t.html(確認 )本文 1 本文 2 本文 3
- 21https://archive.steinberg.help/cubase_pro/v12/en/cubase_nuendo/topics/recording/recording_asio_direct_monitoring_t.html(確認 )本文 1 本文 2
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- 24https://kb.line6.com/helix-native-faq(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8 本文 9 本文 10 本文 11 本文 12 本文 13 本文 14
- 25https://line6.com/helix/helixnative.html(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 26https://archive.steinberg.help/cubase_pro_plugin_reference/v12/en/_shared/topics/plug_ref/vstamprack_r.html(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 27https://www.bitwig.com/userguide/latest/destruction/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 28https://www.image-line.com/fl-studio-learning/fl-studio-online-manual/html/plugins/Hardcore.htm(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4
- 29https://aaltodoc.aalto.fi/bitstreams/92759095-3b64-4a0f-bf29-8a3617b9d92c/download(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7 本文 8
- 30https://aaltodoc.aalto.fi/bitstreams/fa70464c-0d32-403f-8db9-9c5124b88fe0/download(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5 本文 6 本文 7
- 31https://zoomcorp.com/manuals/ams-22-en/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 32https://zoomcorp.com/manuals/ams-24-en/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4
- 33https://www.roland.com/global/products/rubix22/specifications/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4
- 34https://www.roland.com/global/products/rubix24/specifications/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4
- 35https://audient.com/products/audio-interfaces/id4/tech-specs/(確認 )本文 1 本文 2
- 36https://www.steinberg.net/audio-interfaces/ur22c/(確認 )本文 1 本文 2 本文 3
- 37https://www.fractalaudio.com/downloads/manuals/fas-guides/Fractal-Audio-Blocks-Guide.pdf(確認 )本文 1 本文 2 本文 3 本文 4 本文 5
- 38https://www.dsprelated.com/freebooks/pasp/Memoryless_Nonlinearities.html(確認 )本文 1
- 39https://www.dsprelated.com/freebooks/pasp/Cubic_Soft_Clipper_Spectrum.html(確認 )本文 1
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